Reversi-Love#76~おやすみのハグ~

 
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愛の様子を見て、春奈は寮に帰ろうとすると、玄関先まで黒羽が出た。

「悪いな。送れなくって。」

「ううん。愛ちゃんがと健太くんについてあげてください。明日は病院どうするんですか?」

「たまにあいつらの面倒を見てくれる近所の人が来てくれるって言ってくれたんで、明日は出勤するよ。今週は担当患者の執刀もあるし。」

「じゃあ、明日病院で。」

春奈は笑って手を振ると、踵を返して歩こうとした。

その時、黒羽が春奈の手首を掴み、自分の元へと引き寄せ後ろから抱きしめた。

そして耳に唇をつけて囁く。

「葛西…」

春奈の心臓が激しく鳴っている。

「おやすみ。」

そう言って腕をほどくと、春奈の背中をトン、と押して家に入って行った。

春奈はその場に立ちすくんだ。

顔が真っ赤だった。

---こ、この攻撃は反則です。こんなのがずっと続いたら、わたしの心臓が持ちませんっっ。

胸に手をあて、うるさいぐらい激しく鳴っている心臓の音を落ち着かせようとする。

深呼吸しても、目を閉じても、一向におさまらない。

『葛西…。』

黒羽の心地よいテノールの声色が耳に残る。

春奈はプルプルと大きく顔を左右に振ると、振り切るように脚をすすめた。



一方、黒羽も玄関に入った所で、戸にもたれながらへなへなと座り込む。

尻を付き、膝を曲げて座ると、前髪をかきあげた。

---慣れないものはするもんじゃないな。恥ずかしすぎて葛西の顔が見れなかった。ったく、情けないな。俺は。

恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、どこか満足気な、そんな表情だった。






春奈は寮に着くと、カバンから荷物を出しはじめた。

---あ。

茶封筒に手が触れると、ベッドに寄りかかるように座り、中身を取り出す。

カメラテストから本撮影まで、あらゆるシーンがそこにあった。

祐介の花婿姿ににやけながら、一枚一枚とめくっていく。そして…

「え?」

手元の写真には、祐介と春奈が波打ち際で額をつけ笑っている写真だった。

「え?ええ?!」

一枚、また一枚とめくる。

その写真以降はすべて2人の写真だった。

春奈は口をおさえ、真っ赤になりながら写真をめくる。

すべてめくり終わると、大きく深呼吸をした。

---叶さんがニヤッと笑った"いい仕事"って、まさか、これ?!


ふっと、冷静になる。

---これ、透さん、見たのかな…?

罪悪感が春奈を襲う。

---でも、聞けないし…。もし、見たのだったら、私、ひどいことしちゃった…。

春奈は散乱している写真をじっと見つめていた。




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