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Reversi-Love#85~意外な再会~



Reversi-Love_085.jpg 
 

春奈はその日、休みを取った。

化粧を少し控えめに、洋服も色味の落ち着いたモノを選んだ。

花束を抱え、バスに乗っている。

バスに乗る前は、電車をいくつも乗り継いだ。

小高い丘、ポツンと停留所だけが立っている場所で、春奈はバスから降りた。

降りた瞬間、海からの風が頬を撫で、髪をくすぐるように通り過ぎていく。

みかん畑の横の道をひたすら歩く。

夏の終わりを惜しむ蝉達の鳴き声が、まるであの夏の日の雨のように降りそそぐ。

春奈は額に浮かんだ玉のような汗をそっとハンカチで抑えた。


十数分歩くと、目的の場所についた。

敷地入口の両側には大きな石柱が立っており、そこには◯◯寺、と彫られていた。

桶2つに水を汲み、花束を片方の桶に入れると、目的の墓へと向かう。

1番奥にある、海を一望できる場所にその墓はあった。

桶を置き、手を前で合わせ、まっすぐに墓石に向かう。

「こんにちは。ご無沙汰しております。」

春奈は墓に向かって頭を下げた。

そして顔をあげると、笑顔で続けた。

「一年ぶり、ですね。」

墓には「黒羽家之墓」と刻印があった。




春奈が時間をかけ墓掃除をしていると、そこに住職が通りかかった。いや、案外春奈の姿を見かけて、頃合いをはかってわざわざ出てきたのかもしれない。

「お嬢さん、今年もいらしたか。」

春奈はニコッと笑った。

「はい。ご無沙汰してます。」

すると住職は相好を崩し、顎をさすりながら応える。

「ご無沙汰なもんか。毎年、命日の前日に来てこうやって墓掃除をなさる。なかなかできることじゃありませんよ。で、掃除は終わったのかな?」

「はい。後はお花とお線香だけです。」

「では、待っているから続けなさい。」

それは毎年の事だった。

春奈は住職に深く頭を下げると、花を活け、線香に火をつける。

そしてしゃがむと手を合わせる。

「どれ。」

こほんと咳払いをした後、住職が読経を始めた。毎年恒例の儀式だった。

---私を助けてくださってありがとうございます。おかげさまでこうやって毎日を健康で過ごせています。この感謝の気持ちをどうやってあなたに返せばいいのかわかりません。本当に、ありがとうございます。

その時、背後で砂利を踏む音がした。

住職が気づく。

「おお。こちらも一年ぶり、じゃな。」

春奈が振り返ると、そこには黒いスーツを着た田代が立っていた。

春奈は驚く。

「シロチョー…。」

しかし田代はそこに春奈がいる事を知っていたかのように、驚かずただ笑みを浮かべている。

「ヨオ、かさ…。いや、今日は仕事じゃないから、春奈チャン、だな。」

住職は2人を見比べて顎に手をあて笑っている。

「ほう。皆勤賞の2人が知り合いとはな。世間は広いようで狭いもんじゃな。かっかっ。」


田代は春奈の横に並んでしゃがむと、目を閉じ手を合わせた。

春奈もそれに続く。

二人の後ろで、住職が先程の続きを読み始める。

住職のよく通る声が、抜けるように青い空へと吸い込まれていった。


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THEME:オリジナル小説 | GENRE:小説・文学 |

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