Reversi-Love#107~その目に光るモノ ~

 
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黒羽の記者会見が始まる数十分前。

病院の前に黒塗りの車が1台止まり、そこから颯爽とゆう子が降りてきた。

病院長が手ぐすねひいて待ち構えている。

「これは高階先生。ようこそおいでくださいました。病院長の権藤でございます。いや、相変わらずお美しい。」

そう言って権藤は無遠慮にゆう子の全身を舐め回すように見る。

「こちらこそ、例の件、快く引き受けてくださってありがとうございます。」

ゆう子が満面の笑みで権藤に話しかける。

権藤は表面上はニコニコとしながら、内心は穏やかではなかった。

---この小娘、何を嗅ぎつけた?まぁ、いいか。いざっていう時は綿貫先生のお力を持って排除していただこう。

権藤は陰湿な笑みを浮かべると、ゆう子を病院内へと誘導した。




病院内の会議室で記者会見が始まろうとしていた。

会場には記者たちが押しかけ、ガヤガヤとしながらもその時を待っていた。

その会場の前で、見知った顔を見つけ黒羽が歩みを止める。

「あ…。」

黒羽の驚いた顔とは対照的に、優雅に笑みを浮かべたゆう子が立っていた。

「透くん、おめでとう。」

「あ、いえ。ありがとうございます。なぜここに?」

黒羽の家で初めてあって以来ではあったが、ゆう子の持ち前の人懐っこさからか、黒羽はすぐに打ち解けていた。

「あら?聞いていないの?じゃあ、会見場で驚きすぎないでね。」

ゆう子はくすくすと笑う。

黒羽は不思議がりながらも、2~3言葉を交わして進行役に連れられて会場へと入った。


たくさんのフラッシュがたかれ、その中を黒羽は悠然と進み、会見席の中央へと座った。

そして記者会見が始まった。

まずは黒羽の来歴が簡単に説明され、ついで学術的な話に入る。

その間、出番がまだのゆう子は会見場の外から中の様子を伺う。

---春奈ちゃん、来てないのかな?

あたりを見回すが、それらしい人影はなかった。

あたりを見回した時、口元に笑みをたたえ、優しい目をして黒羽を見つめながら、目の端には光るものをうっすらと浮かべている男性の姿が目に入る。

その人物はゆう子の視線に気がつくと、ゆう子に背を向けて歩き出した。

---まさか。


ゆう子はその人物の後を追う。

会見場から少し離れたところで呼び止める。

「田代センター長!」

田代は名前を呼ばれたことに驚き、振り返った。

「やっぱり。田代先生ですね?想像通りの方でした。」

ゆう子は田代に警戒心を起こさせないように、満面の笑みを浮かべながら一歩、二歩と近づいていく。

「・・・」

田代は腕を組みながら、その場を動こうとしない。

ゆう子はほっとしながら、話を続けた。

「透くんに、おめでとうって言ってあげたんですか?」

「べつに。俺から言っても、嬉しかねぇだろ。」

そう言ってニヤッと笑う。

「そんなことないですよ。彼は、きっとあなたから褒めて欲しいと思ってます。父親がわりのあなたに、喜んで欲しいと、誇らしい気持ちになって欲しいと願っているはずです。」

田代は一瞬驚いた後、顎に手をあてニヤッと笑った。

「ずいぶんと事情通なんだな。最近の議員センセは他人のプライバシーに首を突っ込むほど暇なのか?」

ゆう子も負けずとニッコリと微笑む。

「あなただから、興味があるんですよ。田代先生。」

2人は笑顔を作りながら腹の探り合いを続ける。

そしてしばらく会話を続けた後、ズバリと切り込んだ。

「田代先生。この短い時間でも、あなたの人となりがよくわかりました。あなたが追い求めている理想の医療を、私と共に作り上げませんか?私にはその用意があります。」


田代の顔から笑みが消え、冷えきった目でゆう子を見る。

「あんたにゃ無理だ。綿貫の尻尾も捕まえられないような青二才に何ができる?」

ゆう子は心の中でギュッと拳を握りしめて、しかし顔は笑顔で田代に返事をする。

「私が綿貫を追い詰めることができれば、私と共に立ち上がっていただけますか?日本の未来を、日本の医療を救うために。」

田代はフッと鼻で笑い、その場を立ち去ろうとする。

「そう遠くない時期に、私が本気だということがわかっていただけると思います。」

まるで「はいはい」と言わんばかりに、背中を向けた田代が手を振ってその場から立ち去る。

ゆう子は田代の背中をじっと見つめていた。

いつか、共闘するその時を信じて。





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