Reversi-Love#118(完)~幸せのカタチ~

 
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秋もだいぶ深まったある日。

空から白いものが落ちてきた。

「あ…雪?」

---シロチョーの故郷は、雪深いところだと聞く。もう雪は積もっているんだろうか?風邪など引いていないだろうか…

病院長室の窓から、落ちてくる雪を眺めていた。


「春奈。春奈!」

「え?あ、はい。ごめんなさい。なんでしたっけ?」

祐介はふうっとため息をつく。

「春奈、見て。」

祐介はそう言って机の引き出しからリンゴを取り出した。

「りんご?」

祐介はにやっと笑うと、そのリンゴを怪我した方の手で持ち上げる。

そして、息を止め、指先に力を入れる。

するとりんごが音を立てて砕かれた。

「どう?春奈。俺の手はここまで回復しているよ。もう、リハビリは必要ない。君のフォローはもう必要ない。」

真顔で話す祐介に、春奈は首を傾げる。

「祐介先生…?!」

祐介が両手を広げ、満面の笑みで語りかける。

「行きなよ、春奈。俺に君はもう必要ない。クロの所へ行け。」

「祐介先生…。」

「1人でシロチョーの病気と向き合っているクロを支えてやってくれ。」

春奈は口を両手で抑え、涙を流している。

それに対して、祐介は変わらず笑みを浮かべている。

春奈はなんと声をかけていいのかわからず、祐介に向かって頭を下げた。

---祐介先生っ。私、私っ。

頭を上げた瞬間、強い力に身体を引き寄せられた。

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祐介は春奈を抱きしめていた。

「せ・・・・んせ・・・・っ。」

涙を堪え搾り出すような春奈の声に、祐介は後頭部と腰に回した腕に力を込める。

春奈のぬくもりを忘れないように、春奈のすべてを己に刻み込むように、強く、強く抱きしめる。

春奈は祐介の胸に顔をうずめて、ただ泣くことだけしかできなかった。



祐介は春奈の肩を掴み、身体を離しながら後ろを向かせると、そのままドアに向かって、トンっと押し出した。

「ほらっ。行けよっ。春奈っ!」

「祐介先生っ。ありがとう。ありがとうございますっ」

そう言って春奈は病院長室を出て行った。

祐介の傷跡がチリッと痛む。

目の前には高瀬に用意させた、あらかじめ内部が破壊されているリンゴの残骸が転がっている。

「君が幸せなら、それで、いい。」

祐介がふっと笑う。

「君が幸せなら、それが、いい。」


祐介は腕を組みながら窓際に立ち、遠い目をして、しかし満足げな笑みを浮かべて、雪が舞い降りてきた空を見ていた。








「今日は肌寒いと思ったら、雪がちらついてきたよ。この雪は根雪になりそうだ。」

黒羽が田代の病室で窓の外を眺めながら言った。

「そうか。長い冬がはじまるな 。」

そう言って2人で笑う。

「長い冬のお供に、新人ナースはいかがですか?」

その声に、黒羽が目を見開いて振り返る。

春奈が小さな荷物を抱え、入り口に立っていた。

「かさ・・・い・・?なんで、ここに?」

「追いかけて、来ちゃいました。」

黒羽は信じられないと言った表情で、春奈を見ている。

そして、一歩、二歩と近寄って行く。

「かさ・・・」

その瞬間、春奈は黒羽の胸の中へ飛び込んだ。

「・・葛西っ。葛西っっ。」

黒羽が春奈を強く抱きしめる。

春奈も黒羽の背中に手を回し、抱きしめ返す。

「離さない。もう、一生、離さないっ。」

「離さないで。もう、サヨナラなんて、言わないで。」

二人は硬く抱き合い、キスをした。

お互いを確かめ合うような熱いキスをした。

「おほんっ!」

二人は慌てて唇を離す。

「お前ら、ヨソでやれっ。」

田代は笑って怒りながら、二人を追い出した。



二人は雪のちらつく屋上に出た。

「やっぱり、俺たちはここから、かな?」

黒羽が笑いながら言った。


屋上の中心で2人は向かい合い、手のひらをあわせ指を絡めお互いの手を握る。


「ハルちゃん。愛してる。」


「クロくん。私も。愛してる。」


そう言って二人はキラキラと光る雪が舞い落ちる中、強く抱きしめあった。






おしまい







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