狩る男#09~緊急警護要請セヨ~

 
 

SIDE:ゆう子



ジョーが何も言わず目の前に立っている。

見られた?あの男に唇を奪われている私を。

ガタンガタンとレールのつなぎ目の上を通過する音だけが、自分の中に響く。

ジョー。なんで?なんで何も言わないの?

そもそも、なんであそこにいたの?

ジョーを見上げると、そこには鋭い視線で周りに気を張っている姿があった。

任務中に見せるジョーの表情だった。

私の視線に気がついたのか、ジョーが一度視線を私に落とす。

ジョーは笑顔を作ると、すぐに上を向いて元の表情に戻る。

まるで私を視線を交わす際に、意識して表情を和らげているようだった。

「次の駅で降りるぞ」

「え?」

私の返事を待たず、ジョーは回りに気を配る。

そして駅に着くと、ドアがしまるギリギリになってホームに降りた。

そして再度あたりを見回すと、改札口へと向かう。

足早に地上に出ると、数十メートル離れたビジネスホテルに入る。

ロビーに入ると、ジョーが私の携帯を胸のポケットから取り出し、私によこした。

携帯がないのは気づいていたけど、ジョーが持ってきてくれるとは思っていなかった。

緊急発信用のストラップが新しくなっている。そうか、私が何かを隠していることに気がついちゃったのね。

ジョーが小声で耳打ちする。

「ゆう子。今すぐ事務所に連絡して、警護の要請をしろ。俺がいる二宮班を名指しするんだ。事務所の人間以外にはここを教えるな。」

ジョーのただならぬ気配に何も言えず首を縦に振る。

ジョーがフロントへ行き、警察手帳を見せながら部屋番号指定でチェックインをしている。

私は事務所に電話をかける。

電話にヨシが出た。

「ヨシ、事務長は居る?」

「それが、事務所の人間は僕以外、全員なにかにあたってしまったようで・・・・。事務長も今、その、トイレなんで電話には出れそうにもないんですけど、伝言は出来ます。どうぞ言ってください。」

私はみんなの心配をしつつ、ヨシに言っていいものか躊躇っていた。

「先生?僕では信用できませんか?そうでしたら事務長が次にトイレから出てきたときにかけなおしてもらいます。先生の携帯あてでよろしいですか?」

「ごめん。ヨシ。信用していないわけじゃないのよ。みんなが心配になっただけ。伝言をお願いするわ。」

そうして今いるホテルの名前と部屋の番号、警視庁への緊急の警護依頼を行ってもらうよう伝言をした。

携帯を切り、そのまましばらく待っていると、ジョーが手続きを終えロビーに戻ってきた。

「先生。こちらへ。」

ジョーは私に声をかけ、エレベーターホールへと案内する。

あぁ、まわりの目があるので、名前で呼ばないのね。

でも、エレベーターで2人きりになっても、ジョーは何もしゃべらない。

「ジョー?」

ジョーの背中が少し怒っている風に感じた。でも、それはなんだか私に対して怒っているのではなく、いうなれば、自分自身に対して腹を立てているようにも思えた。



エレベータは9階に到着し、そこで私達はエレベーターを降りた。

そしてジョーは私をつれて、階段で1つ下の階に降りる。

部屋に入り、鍵をかける。

ふりむきざま、私を力いっぱい抱きしめる。

「すまん・・・・。」

「え?」

「お前を護ってやれなかった・・・」

「ジョー?なんの、こと??」

ジョーは口を開かない。



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