狩る男#13~ハサミウチ~

 
 

SIDE:ゆう子



「いやーっ。ジョーっ。目をっ。目を開けてえっ。」

私は半狂乱になって叫ぶ。ジョーの腕に押さえ込まれ、身動きができない。

目の前にはこめかみから血を流して意識を失っているジョーの顔がある。

「ジョーっ。もうっ、もうこんなのイヤっ。私の盾になって傷つくあなたを見るのは、もうイヤなのっ。」

その時、私達がいるビルの非常階段から駆け上ってくる足音が聞こえた。

終わった。

私はぎゅっと目をつぶり、ジョーの胸に顔をつけ、覚悟を決めた。

パァァーーンッ
パシュッ

乾いた銃声が2つ鳴り、元いたホテルの屋上で、男達が倒れる音がした。


コツコツとした足音が近づいてきて、私達の横で止まる。

「高階先生、ご無事ですか?」

そういってジョーの肩越しに覗き込む顔には覚えがあった。

ジョーと一緒にいた女性のSPだった。

「え・・・と、、、たしか、、、竹下さん?」

竹下さんは名前を呼ばれたことに驚いた顔をした後、「はい。ご無事そうでなによりです。」と微笑んで言った。

そしてジョーの腕を持ち、ジョーを私から引き剥がす。

「おいっ。真中っ。」

「ん・・・。」

ジョーが小さくうめき声をあげると、竹下さんはほっとした表情になって立ち上がり、携帯で救急車を要請した。

その後、ホテル側に移り、倒れている2人に手錠をかけた。

そして、おそらくはタカがいるである方角をじっと見ている。

1発は竹下さんの撃った弾だったんだろう。

もう1発は・・・・


私はジョーの耳からイヤーカフを外し自分の耳につけ、震える膝にカツをいれ立ち上がった。

そして、タカのいるほうへ頭をさげる。

「タカ、ありがとう。」

返事はなかったが、イヤーカフの向こう側にタカの気配を感じた。

「先生っ。」

振り返るとヨシが立っていた。

「ヨシ…」

ジョーはヨシを疑ったけれど、私は疑ってなんていない。

「先生っ。すみませんでしたっ。」

そういってヨシはいきなり床に額をこすり付けるほど土下座をする。

「先生が狙われる原因は僕にあるんですっ。」

私はヨシの傍らにしゃがみ、肩に手を添える。

「頭をあげなさい。ヨシ。説明して?」

ヨシは言われたとおり頭をあげた。目には涙が浮かんでいる。

「先生は、"吉見"という名前に覚えはありませんか?僕、、、私ではなく、父ですが。」

ヨシはそういうと、私の顔をうかがっている。吉見・・・・?

「・・・・あ。綿貫の第一秘書の?」

ヨシは大きく頷いた。

「正確には、"元"第一秘書です。綿貫に、、、、、殺されましたっ。」

ヨシが床についた手をぎゅっと握る。

「身の危険を感じていた父は、裏帳簿のデータを私に預けました。その私が先生の事務所に出入りしていると知った綿貫は、データが先生の手に渡ったと思ったようです。それで先生を・・・・」

私は黙ってヨシの話を聞いている。
よかった。ヨシがいい子で。私の目に狂いはなかった。
きっと事務所に盗聴器でもしかけられているんだろう。あとでキレイにしてもらわなくては。

「私は、実は綿貫が妾腹に産ませた子供なんです。でも、私にとって父とは吉見だけなんです。先生。綿貫を、綿貫を政治の世界から引き摺り下ろしてくださいっ。綿貫に復讐をっ。私は綿貫からすべてを奪った後、綿貫をこの手でっっ。」

私はヨシを抱きしめた。

なきじゃくる子供をなだめるかのように。やさしく。大きな愛をもって。

「あなたの手を汚したら、お父様が悲しまれるわ。」

「・・・・先生・・・・。」

「私に、私達にまかせて。今度こそ綿貫を政治の世界から引き摺り下ろしてみせる。」



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